アーケードで展開し、人気を博している『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズ。
本シリーズについての開発者インタビューを掲載する。
『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』は、2010年にリリースされた。
シリーズはその後、6年間で3タイトルが稼働。
現在は最新作『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON』でアツい対戦が繰り広げられる。
長く楽しまれている本シリーズについて、バンダイナムコスタジオの制作プロデューサー大久保人さんと、
バンダイナムコエンターテインメントのプロデューサー大石勇気さんに、インタビューを敢行。
6年間進化し続けている本シリーズの開発経緯や思い出、苦労話などを語ってもらった。
『機動戦士ガンダム EXVS』6年の軌跡を振り返る。アップデート内容や機体選別の経緯、今後の展開が明らかに
全文は上記リンクにて
以下気になる人が多そうな部分だけ抜粋
――バンシィやガンダムサバーニャなど、1回目のアップデート追加機体がやや強めになっている印象があります。機体の強さはやや強めを意識して調整されているのでしょうか。
大石:リリース直後の強さについては、その時々の状況に合わせて何とかバランスを決めているので、特に意図して“強すぎる”様にはしていません。
大久保:追加機体は期待度も高いので、丁度いいバランスに落とし込んでいきたいと思っています。
升、万死、鯖のアレは事故だったのか・・・
――現状、店舗側からの意見ではどのようなものがあるのでしょうか?
大石:オンライン対戦設定と店内対戦設定の自動切替え設定の回数を増やしてほしいという意見は反映しています。
あとこれはまだ検討段階ですが、オンライン対戦を実装したので、店舗間での大会ができないか、という声もあります。
店舗間での大会ができるようになるとより幅が広がりそうですね。
――クロスボーン・ガンダムX2改は『フルブースト』でコストが変更されましたが、
コスト変更はどのような意図で行われているのでしょうか?
大久保:ゲーム全体という縦軸と、コスト間という横軸のバランスを見て行っています。
バランスを調整すると言っても、ただ強弱を付けるだけだとおもしろくなくなってしまう場合もあります。
でもコストを変えることで強さとおもしろさを担保したまま、
バランスも保てるという判断になった場合に、コストを変更しています。
X2とクシャとかはコスト変更が成功したいい例ですよね
シナンジュの換装あれはあれで楽しかったから返して――『マキシブースト』で機体コストが1000から1500になった理由は?
大石:単純にゲームバランスの都合です。ゲームプレイのテンポをあげたかったのと、
使いやすさと諸々の性能差のバランスを考えるとコストを少し上げたほうがいいと考えたためです。
大久保:コストを上げることで性能が上がり、できることが増えています。
当然、活やくするチャンスも増えていて使いやすくなっています。
――1000は玄人向けの機体が多く、初心者が手を出しにくいコスト帯でもありました。
大石:過去の全国大会でも、1000コストの機体が上位にいましたが、
上級者が扱うとスキル差による有利が顕著に出すぎてしまいがちなので、
その為に性能を少し控えめしたりもしたのですが……
そうすると今度は初心者扱いづらくなってしまっていたので、何とかバランスをとろうと、
『マキシブースト』から1500というコストを作りました。
大久保:武装や性能がピーキーなんです。
ただコスト比を考えた万能型にすると、上位コストには太刀打ちできない。
ということからコストアップで性能を底上げすることで、扱いやすくしつつ上位コストとも渡り合えるように調整しています。
1500になったのはマキブで導入されたドライブとの兼ね合いだけなのかなと思ってたんですが、
開発側としては「初心者にも使いやすく」という部分が大きかったんですね。
――開発で苦労された機体はありますか。
大石:リ・ガズィはいろいろ大変でしたね。
原作再現上、戦闘機の様になるバックウェポンシステムを装備した状態で
登場しなければ不自然だろう、という拘りがありまして……。
戦闘開始時のステージ登場演出の時、通常のモビルスーツはジャンプして入ってくるのですが、
リ・ガズィは最初から戦闘機の様な形態なのでジャンプで入ってくるわけにもいかず、
登場のさせ方はいろいろ試行錯誤がありました。あと攻撃を受けるモーションなども同様に悩みましたね。
――リ・ガズィは着地を狙う、というセオリーが通じないので対戦バランスの調整も大変だったと思います。
大久保:ずっと空を飛んでいますからね。
大石:最初はいつでも換装できるシステムで戦闘中に切り替えるイメージだったのですが、
「モビルスーツの設定的にここもキッチリ再現しよう!」ということにしたので、
現状の一方通行のシステムに落ち着きました。
リガが自由に換装できたら恐ろしいことになってたかも・・・
フルブのリガどうにかして・・・――原作再現ということで苦労されたと。
大久保:そこは原作があってこそのタイトルですから。サンライズさんと確認しながら、線引きを決めています。
その範囲内でおもしろいものを作っていくのは難しいところであり、やりがいのあるところでもあります。
原作再現についてのお話も
――エクストリームバーストの変遷についてお聞かせください。
大久保:『EXVS』では“使うと強化される”というシンプルなテーマでした。
発動させると単純に強くなるので、そこから一気に逆転もできるといった分かりやすさを重視しています。
いわゆる“EXバーストゲー”と言われた側面もありますが、
実際そのような側面もあり、お互いにどこで発動させるかの判断が、勝利に直結していましたね。
――エクストリームバーストの強さを見越したゲームバランスだったのですね。
大久保:初心者が上級者と対戦した時はさすがに勝てないものの、
実力差が近ければ逆転の目があるシステムにしました。
覚えるべきセオリーはできましたが、
それさえ覚えてしまえば活躍できるタイミングを誰でも持てるという要素になっています。
――初心者でも一矢報いることができるのもいいところですね。
大久保:完封されるのと一矢報いることができただと、大きな差があると思います。
結果的には負けてしまっても、次戦のモチベーションにもつながるので。
確かに良くも悪くも覚醒ゲーですよね。
覚醒をうまく使えるかがその人の実力と言っても過言ではないのかも。
――『フルブースト』での変更点については?
大久保:アサルトバーストとブラストバーストに細分化されました。
『エクストリームバーサス』から2年ほど経過して戦い方が固まってきたと感じていたので、
尖っていた部分を2つの特性に分け、マイルドにしたイメージです。
これまではエクストリームバーストを発動させれば一気に押しきれていたものが、
発動前や発動後の立ち回りを考えなければいけないバランスになっています。
――ゲーム性が強くなった印象があります。
大久保:やり込めばやり込むほど強くなっていく一方で、腕の差が出やすいゲームバランスです。
EXバーストが選択式になったことで、
今までよりも自チームの状況や相手のゲージなどを考えながら立ち回る必要が増えました。
このような面から上級者のプレイヤーからは高い評価をいただいていますが、
初級者の方が手を出しにくくなる一面もありました。
――ゲームとしての深さが増したことで、ハードルも高くなってしまったと。
大久保:継続タイトルということもありますし、
一発逆転というバクチ要素が減った分、実力差が出やすくなりました。
――2種類あるのも最初は戸惑う原因かもしれません。
大久保:最初はアサルトバーストが優勢でしたが、後半はブラストバーストが主流になっていきました。
時間の経過によってプレイヤーさんの攻略が進み、さまざまな遊び方が模索されていったのはよかったところだと思います。
フルブ稼動終期は評価高いですよね
――その後『マキシブースト』ではさらなる変化を遂げます。
大久保:『フルブースト』はプレイヤーの実力差が出やすくなり初級者の継続が難しくなってきました。
またプレイヤーのテクニックがあがり、射撃を差し合うジリジリとした展開が多くタイムアップになることも多くなりました。
そこで『マキシブースト』ではエクストリームバーストに加えて
“オーバードライブ”を設けることで、対戦時の山場を増やしています。
初心者だとエクストリームバーストの発動タイミングを見逃して不発になることも多かったので、
オーバードライブは自動発動という形にしました。
――『エクストリームバーサス』のように初心者でも逆転の目があるようにしたかったと。
大久保:最初はかなり悩みましたが、最終的にはお祭り感を意識して攻撃の爽快感を強調した形にしました。
上級者だとどちらを先に使うかの判断や、
相手のゲージ状況を意識するといった駆け引きが楽しめます。
攻撃側の爽快感とゲームバランスをとるのが苦労したところですね。
初心者が使いやすい強いシステムを作ると上級者がより上手く使いこなすという
――そして最新作『マキシブーストON』では再びシンプルな形になりました。
大久保:『フルブースト』と『マキシブースト』の中間ぐらいを狙っています。
オンライン対戦の実装により、これまでのアーケードのプレイヤーだけではなく、
『フルブースト』の家庭用版を遊んでいるプレイヤーも手を出しやすい環境になりました。
そういった人たちのためにシステムをシンプルにしようと。
あと、オンライン対戦による情報量の問題もあります。
内容的にはエクストリームバーストにオーバードライブの気持ちよさを組み合わせたものになっています。
――新たに“エクステンドバースト”が組み込まれましたが、こちらが追加された経緯は?
大久保:エクストリームバーストとオーバードライブがあった
『マキシブースト』から『マキシブーストON』に変わったことで、
プレイヤーの選択肢が減ったことは確かです。
そこで『マキシブースト』とは方向性の違う選択肢を増やしたかったという理由があります。
あとは初心者でも使いやすい効果、
既存の2種類のエクストリームバーストだと相性がよくなかった機体へのフォローという面ですね。
もちろん今後の展開を見てバランスは調整していく予定です。
家庭用から入りやすくなったのはありますよね。
ゲーセンに前よりいろんな人が来るようになった気がします。
――エクストリームバーストを対戦前に変更できるようにはならないのでしょうか?
大久保:検討もしていますが、マッチングのシステムや対戦のテンポなどの兼ね合いから難しいところです。
連座2みたいにブリーフィング時で選択できるようにしてもええんやで
追加機体の選定基準とは?
――9月27日に参戦するヤクト・ドーガはどんな機体になるのでしょうか?
大石:コスト2000の射撃寄り機体。武装はクセがないので使いやすいと思います。
大石:選定理由は実はいろいろ事情がありまして全部はお話できないのですが、
先日のティエレンタオツーもそうですが、各コスト帯の機体数や
性能のバリエーションを増やしていきたいという意図もあります。
ヤクト・ドーガについては2000コストのファンネル機という枠で採用したということも選定理由の1つです。
――参戦作品の機体ラインナップに差があると思うのですが、こちらについてはどうお考えでしょうか?
大石:やはり人気度の高い機体はある程度優先的になりますが、
性能、コスト、作品枠、リリース時期なども考慮して、
長期的に見てなるべくバランスよくという方針で決めています。
大久保:前提として“オールガンダムの混載ゲーム”というのがベースにあり、
全体のバランスを見て足りていない作品にテコ入れしていきたいという気持ちはあります。
ただ、少ないからといってただ増やせばプレイヤーの皆さんに喜ばれるかというとそうでもなく、
そこは作品の人気もバロメーターの1つになります。
恐らく皆さんが考えられている機体は、ほとんどが検討には上がっています。
ただ、候補には上がるが順番が回ってこないのです……。
まあいろいろな問題あるし偏りに関しては仕方ないのかも・・・
――やや敷居が高めのシリーズですが、これから始めるプレイヤーにアドバイスをお願いします。
大久保:友だちと一緒にプレイするのが上達する近道ですね。
『エクストリームバーサス』初期の展開もこの考えに基づいていて、コミュニティを大事にしています。
普通の対戦ゲームだと一緒に遊びにいって対戦しても一方的に倒して雰囲気が悪くなって終わりですが、
このゲームだとうまい人が初心者の味方になって一緒に遊べるのが強み。
コストや連携などを考えると敷居が高く感じますが、
そこは人と人との交流を通じて理解を深めていく。
そしてそれを友だちに伝えていく、という流れですね。
大石:やはり2on2のゲームなので、一緒に遊ぶ人を見つけるのが一番だと思います。
お互いにいろいろな戦術を試せますし、単純に1人で遊ぶより複数人でワイワイ遊んだ方が楽しいですからね。
――4ボタンとレバー操作という、操作そのものは難しくない分、知識による差が大きいタイトルですからね。
大石:操作を覚え、セオリーが分かれば一気におもしろくなると思います。
機体の武装の使いどころや、コストや性能の組み合わせなど、やり込んで覚えていく中にも楽しさがあると思います。
大久保:テクニックであれば調べようという話になるのですが、
実戦でそれをできるかというと話は別。でもセオリーならばある程度プレイすれば実戦に落とし込むことができると思います。
大石:それと、今はオンライン対戦もできる様になり、
1人でも気軽に対人対戦が楽しめる様になりましたので興味のある方はぜひ挑戦してもらいたいです。
友達居ないぼっちはどうすればいいんですか!
初心者向けのチュートリアルはつけないんですか!――公式大会の予定はありますか?
大久保:現在調整しているところです。どういった形になるかもまだ決まっていません。
――今後の展開についてお聞かせください。
大久保:アーケードならではのプレイヤー間のコミュニティを大事にしつつ、
そこを盛り上げる施策を考えています。今後についてはまだ言えないところが多いですが、
まずは『マキシブーストON』を楽しんでプレイしていただけると幸いです。
大石:先日家庭用の方で、次世代の『ガンダムVS.』の発表もありましたが、
『マキシブーストON』の方もまだまだアップデート運営を頑張って参りますので、アーケードの方も引き続きご期待ください。
ちなみに当ブログの方針としてはEXTREME速報ですが
『ガンダムVS』の方も追いかけてく方針ではありますので
そちらの方もよろしくお願いします。